SDGsとスポーツ環境

公平で公正な状態へ


SDGsには、さまざまな目標が設定されていますが、その中でも目標5はジェンダー平等を実現しようという内容を持っています。
すべての人が差別されることなく、安全で安心できる生活をしていこうという目標です。

差別ということは、さまざまなところで起きてきます。
例えば、太っている痩せているということで差をつけたりするのも差別です。
それこそ背が高い、背が低いで差別される場合も出てきます。
子どものころ、背が小さいということで差別した、されたという人もいるはずです。
もっと広い視野でみれば、肌が白い黒いも出てきます。

宗教での差別もあるでしょう。
日本ではあまり感じられませんが、自分の宗教以外は認めないという場合すら出てきます。
これがさまざまな面で障害になるのは容易にわかるでしょう。
多くの人が受け入れ合えば、争いも起こりません。
公平で公正な状態ができあがるのです。
だからこそ、目標16として、平和と公正をすべての人にという目標が掲げられました。

少しずつ変わる環境と状況


スポーツにおいて、目標16に対する考えは大きな問いかけになるでしょう。
男女別に分けてきた歴史は、すべて間違っているわけではありません。
骨格の違いやこれまでの成長の違いによって、成績に差が出てくることは確かだからです。
その半面で、本当に生物学的な分け方だけでいいのかという考え方もあります。
生物学的には二元性ですが、心の部分で違いを感じる人もいるのです。
これは病気などではありません。
多様な心身の在り方のひとつであり、トランスジェンダーと呼ばれるようにもなりました。

ここで問題が生じます。
生物学的な性別と自認する性別でどのように競技をしていくのかです。
これは現在でもなにかはっきりした答えが出たわけではありません。
参加をめぐるルールも年々変化してきています。
現在では、生物学的には男性であるが、性自認では女性なトランス女性に厳しい条件を課していたりするのです。

IOCはこうした問題に対し、定期的に見直すとしています。
スポーツにおける公平性と平等、安全などはまだまだこれからやらなければいけない議論が山ほどあるといえるでしょう。
さまざまな選手が声を上げ、やっとスタートラインに立ち、世界が状況を理解し始めたのです。

LGBTとスポーツの環境


目標16では、価値観の違いを否定するのではなく受け入れていこうというのが取り組みに上げられます。
そもそも自己の指向は多様性を持っているはずです。
これはアイデンティティの部分でもあり、他者との関係に大きな影響を与えます。
性的マイノリティとも呼ばれるようになりましたが、LGBTという言葉も使われるようになりました。
実際に嫌悪される傾向があるのも事実です。
水泳でオリンピックで複数の金メダルを獲得したイアン・ソープ選手が引退後に自身がゲイであることを告白しています。
この時に自国であるオーストラリアで受け入れてもらえるか不安であったことをコメントしました。
つまり、精神的に負担を感じていたのです。
スポーツの世界では、まだまだ認められていない部分があるといってもいいでしょう。

しかし、お互いを認め合い、個性を発揮する場がスポーツです。
SDGsはそのきっかけのひとつであり、誰もが平等であるスポーツ環境を作っていかなければいけません。