重心の重要性

スポーツにおいて、トレーニングでも実戦でも、体の重心の持つ役割は大きなものになります。
重心が狂ってしまうと、正確な動きが出来なくなるからです。

こまで例えてみるとわかりますが、重心が狂ったまま無理やりに回せば、正しく回ることができません。
まっすぐ直立することができず、ふらふらと傾きながら動いてしまうことになるでしょう。
飛行機で例えると、重心が狂ったまま空を飛ぼうと思っても、翼がどちらかに傾いてしまうか前か後ろに傾き飛ぶことができないのです。

傾いた姿勢を正しい状態に維持しようと考えれば、その力に逆らうように別の力をかけなければいけません。
非常に非効率な力の配分となり、飛行機に例えてもうまく飛べなくなるでしょう。
これがスポーツや日常生活にも現れてくるのです。

人間の重心の中心となるポイントは、おへそのすぐ下あたりにあります。
丹田などと呼ばれることがありますが、ここを意識することが重要です。
まっすぐ立ってみると、自分の重心がブレることなく安定していることがわかります。
ぶれていると体は揺れてしまうからです。
歩くときの体勢も考えてみるとわかりますが、重心がぶれてしまい、ふらふらと揺れるとまっすぐ歩けません。
安定した姿勢をとるためには、人間でもやはり重心が大切なのです。

柔道には体さばきという言葉があります。
体さばきとは、重心位置を変えることを意味している言葉で、攻めにも防御にも使われる大事な要素です。
重心が安定した状態の相手は投げるのも難しくなります。
相手が軽く見えても非常に重い感じがするのは、少し練習するとわかるでしょう。
こうした相手は安定した状態から重心を崩したりしなければいけないのです。
仕掛けられた側は、自分の重心が崩されないようにしなければいけません。

体捌きには、技をかけやすくするという意味もあります。
脚一本で体を支えようとすれば、簡単にひっくり返ってしまいます。
足がそろった状態なら、両足をつないだ面の方向へ力をかけるだけで、いとも簡単に崩されてしまうのです。
どんなに体重があっても、これでは耐えられません。
つまり、重心とは競技における大事な安定なのであり、意識して保たなければいけない要素なのがわかります。

片足立ちで立っている状態を保とうとすると、体中の筋肉を使い、バランスを取らなければいけなくなります。
余計な力を使うことになりますし、ほかの筋肉の疲労を招くことにつながるでしょう。
負担はどんどんと増加することになるため、無駄な動きと疲労が増えるのです。
当然、怪我をする可能性も高まります。

重心を意識することにより、体の動きは無駄がなくなりスムーズになります。
トレーニングをする際にも、自然に重心が安定できるように意識していかなければいけません。
正しい姿勢を保つためにも必要な要素となるため、どのような競技でも日常生活においてでも、普段から意識が必要といえるでしょう。